今月の1曲(8月)

8月も後半になってしまいました。この頃は、猛暑とスコールの連続で、寒さも暑さもぐちゃぐちゃで、「季節ごとに歌を届けたい」という感覚、「夏の歌」という感覚が、ちょっと麻痺しておりました。でも、ああそうだ、夏の暦のうちに、ご紹介したい曲がありました、ありました。

「水の生まれるところ」。

この曲は、私のオリジナルではなくて、「Spacious」というグループの楽曲で、この動画は、そちらのメンバーのライブ映像。「ヒグラシ」の羽音がとても美しい1曲です。

「Spascious」は、もともと、生楽器を自然音の響きに合わせて演奏する空間で、音を実際に体で感じてもらう、というプロジェクトでした。私はそこで、ボーカルいうか、「息吹」担当です☺️。他のメンバーが、錚々たる響きの達人ばかりで、いつもドキドキと言いますか…。ワクワクしながらも、半ばビクビク(笑)なのですが、一度メンバー紹介の時に「息吹担当」と言われたことがありまして、なんだかとてもホッとして、そして嬉しかったので、それから「息吹担当」と名乗っております。

そして「息吹」に加えて、曲のエッセンスになる自然の音を選ぶのも、実は私の担当なのですが、この「ヒグラシ」の響きは、和歌山県の龍神村で日高川沿いの道で撮った音です。川の水も、松の木の間から透ける空も、蒼く蒼く澄んでいて、この「ハッとするような澄んだ美しさ」を、そのまま空間に再現できるような曲を作ろう、とメンバーに提案しました。

「ヒグラシ」は、私が一年を通じて、最も愛する自然の響きの1つです。最近は6月頃から、全てのセミが一斉に聞こえてきたりしますが、私が小さかった頃は、最初に「ニイニイゼミ」「アブラゼミ」、それから「クマゼミ」「ミンミンゼミ」と聞こえてきて、「ミンミンゼミ」が聞こえると、夏の真ん中、という感じがしました。そして「ヒグラシ」が混じってくると、夏も後半に入ったな、という実感がしたもので、残暑厳しい中でも、「ヒグラシ」の中に「ツクツクボウシ」と「チッチゼミ」の共演という移り変わりがあって、毎日色合いが動いているのがわかりました。特に「ヒグラシ」は、夕方、夏休みの夕焼けとともに聞こえてきて、遊びやお使いの帰りの、1日が終わる切なさのような、帰ったらお風呂に入ろうか、と考えたりする静かな温かさのような、いろんな感じの混ざった印象がありました。

環境も今は大きく変わってきているようで、この美しい自然をどうやって未来に届けたらいいのか、不安もよぎりますが、できることを1つずつやっていこうと思います。

あなたの中の、夏の響き。清流や、風に揺れる木立の音、大きな空や入道雲、そしてセミの羽音が、そのまま美しくありますように。そしてそんな姿があなたの外側の自然にも、生き生きとありますように。